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ロジスティード

統合報告書2023 オンライン版

CFOメッセージ

次なるステージを見据えた企業価値向上に向けて、キャッシュ・フロー経営の深化に注力します。

常務執行役員(CFO) 財務戦略本部長
本田 仁志

積み重ねてきた経験を活かし、キャッシュ・フロー経営を深化させる

2023年4月1日より常務執行役員(CFO)に就任しました。私はCFOとして、当社グループの新たなステージに向けたキャッシュ・フロー経営の深化と企業価値向上への取り組みに注力します。この場をお借りして、全てのステークホルダーの皆様にご挨拶申し上げます。
1990年に新卒で大手総合電機メーカーに就職した私は、工場の経理担当者として原価管理等を5年ほど経験後、その後の10年間は本社の財務経理部署で資金繰りやグループファイナンス、信用格付の取得/更新など一連のファイナンス業務を経験したほか、さまざまな社内カンパニーの業務管理や財務計画の立案、さらには全社中期経営計画の策定等に携わりました。
その後、大手不動産会社を経て入社した大手アパレルメーカーでは、持株会社体制への移行直前かつグローバル展開の本格化へ向かうタイミングにあったことから、持株会社の制度設計や、買収後のグループ会社の管理・監督、経営管理等を3年ほど経験しました。
ここまでの経験を活かし、グループ経営の強化やグローバル事業の拡大を担う経営企画管掌の執行役員として転じた大手IT企業では、入社直後にリーマンショックが到来したことから一転して事業再構築を推進し、海外ベンチャー投資の減損処理や清算、さらにはアクティビスト対応等を6年ほど経験後、CFOに就任しました。執行役員および取締役として同社に在籍した約10年間で売上高は約1.5倍に成長したほか過去最高益も更新するなど、一定の実績を残すことができました。2019年4月より当社に加わり、財務戦略本部の副本部長としてガバナンスの強化や基幹システムの刷新等に携わり、現在に至ります。

キャッシュの「守護者」「予言者」「伝道者」として、CFOの基本的役割を果たす

前述の通り当社に入社するまでの29年間、さまざまな企業で財務・経理業務や財務戦略、経営管理等に携わってきた私は、特にキャッシュ・フロー経営の重要性を身をもって理解してきたと自負しています。
例えば1社目の総合電機メーカーでは、巨額の有利子負債を抱えるなど財務体質が競合他社に大きく見劣りしていたことから、1プロジェクト当たり数千億円の設備投資を必要とする半導体事業に他事業で捻出したキャッシュを投じるなど、毎年の資金繰りに苦労しました。また、2社目以降はいずれもオーナ―企業であったことから、創業社長との接点が多く、資金繰りとキャッシュの重要性、資金ショートのリスク等について苦労話を直接聞きながら薫陶を受けることで、キャッシュ・フロー経営の重要性を理解していきました。
こうした経験を踏まえ、当社においては、キャッシュ・フロー経営を基軸に、キャッシュの「守護者」「予言者」「伝道者」としての役割を果たしていく所存です。
まず、キャッシュの「守護者」としては、資産としてのキャッシュを台帳に正しく仕訳・記録する経理業務の遂行はもちろん、国内外のキャッシュの所在を常に把握し、不正な出金をモニタリング・防止するなどガバナンス機能を担保していきます。
次に、キャッシュの「予言者」としては、将来の入出金計画を踏まえたキャッシュ予測に基づき、最も効率の良い資金調達計画や資金繰り計画を構築・実践していきます。
そして、キャッシュの「伝道者」としては、前述のキャッシュの重要性やキャッシュ予測の方法等を社内外に明確に伝え、浸透させていくことをCFOの基本的な役割として認識しています。
さらなる企業価値向上に向けては、キャッシュを保有するだけでなく価値を生み出す資産に変えていく必要があることから、キャッシュマネジメントの強化と資産効率の向上に注力していきます。

中期経営計画「LOGISTEED2024」の1年目の成果と課題、2年目の重点施策

上記の課題認識のもと、中期経営計画「LOGISTEED2024」の1年目であった2022年度は、トップラインの拡大や各種投資、人財基盤の強化等に取り組んだほか、「海外事業の強化・拡大」「新たな付加価値による事業領域の拡張」「スマートロジスティクスの進化」「ESG経営の基盤強化」の各重点施策が進展した結果、売上収益は前年度比約10%増の8,143億円、調整後営業利益は約18%増の458億円となり、2期連続で過去最高業績を更新しました。フォワーディング事業における運賃高止まりの影響があった一方で、海外3PL事業を着実に伸ばせたことを特に高く評価しています。
中計2年目以降も引き続き国内外のトップライン拡大等を財務面からサポートしつつ、キャッシュマネジメントと資産効率を強化することで、次なるステージを見据えた企業価値向上へつなげていきます。
具体的には、トップラインの拡大を下支えする取り組みの1つとして、グローバル基幹システムの刷新を進め、顧客情報を国内外で一気通貫で参照・活用できる仕組みを構築していきます。
また、将来キャッシュの創出に向けた積極投資を従来以上の規模で展開し、M&Aを含む海外事業の強化・拡大を加速していくほか、事業領域の拡張やスマートロジスティクスの進化、ESG経営の基盤強化に注力します。そして、資金効率のさらなる向上やミニマムキャッシュオペレーションの強化で得られたキャッシュを、これらの投資に充当していきます。

データ分析によってミニマムキャッシュ水準を割り出し、キャッシュマネジメントを精緻化

キャッシュマネジメントの強化においてはTMS※1の全面展開を海外で進め、全ての海外拠点のキャッシュ状況をリアルタイムで把握できる仕組みを構築していきます。これにより、各社/各国/各地域での日々のキャッシュの動きと必要運転資金を把握し、余剰分はキャッシュマネジメンシステムやプーリング等で一元管理しながら成長投資に振り向けていきます。そして、蓄積されたデータを分析することで当社グループとしてのミニマムキャッシュ水準を割り出し、資金効率を向上させながら成長投資を強化していきます。

※1 TMS(Treasury Management System):グループ全体の資金や財務リスク等を一元的に管理することが可能なシステム

ROIC経営の深化に向けて、現場従業員の当事者意識をさらに高める

2018年度から注力してきたROIC経営の取り組みにおいては、今後はキャッシュマネジメントを加味することで、投下資金に対するリターン分析を強化していきます。そして、当社全体のバランスシートのあるべき姿の追求やさらなる資産活用へ向けた議論を深めることで、より高レベルのROIC経営へと昇華させていきます。
現時点において各現場では投下資金とリターンへの意識が着実に浸透しつつあり、今後は「もし会社のお金ではなく自分のお金だったらどのように投資するか」といった視点で、個々人の当事者意識をさらに高める取り組みに注力していきます。これにより、当社グループがこれまで注力してきた資産効率の向上やキャッシュ・フロー経営をさらに深化させていくことが、「キャッシュの伝道者」としての私の役割であると認識しています。

財務戦略としての事業ポートフォリオ管理

事業ポートフォリオの管理においては、「LOGISTEED2030」における定量目標として定めた「売上収益1.5兆円、海外比率50%以上」の達成を財務面から支えていきます。
具体的には、まず海外事業の拡大に向けて、経済成長が続くインドやASEAN、米国、欧州等での事業拡大を図るほか、3PL事業による「点」の展開だけでなくフォワーディング事業による「面」の展開も強化することで、事業間のシナジー創出と海外事業全体の拡大を図ります。
国内事業においては、3PL事業のトップライン拡大やVAS・VMIなど物流周辺サービスの拡大を図ります。また、当社グループが物流業としてモノを取り扱っていることの強みは、今後も社会全体でIT化やデジタル化が進み、モノと情報が一体として扱われていく中でますます際立っていくと考えます。時代の変化に伴いモノを作る場所や仕組みが変わったとしても、モノを動かし、保管するという物流業の本質的な役割は存在し続けることから、そうした需要を着実に取り込むことで、国内事業を下支えしていきます。さらに、少子高齢化等の課題先進国である日本で当社グループが培ってきた自動化やデジタル化等のノウハウを、今後同様の課題が顕在化していく海外に提供することで、さらなる成長へとつなげていきます。

財務面の「現場力」のさらなる強化に向けて、予測データへの取り組みを強化

当社グループの物流センター等の現場においては、前述の通りROIC経営における投下資金とリターンへの意識が浸透しているほか、収益改善に向けたデータ収集・整理や「見える化」が進むなど、財務面の「現場力」は着実に高まりつつあると認識しています。
一方、新たな事業パートナーであるKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P. (以下「KKR」)とともにキャッシュ・フロー経営をさらに深化させていくためには、そうしたデータを各現場でクローズせず全社データとして一元管理し、収益予想を加味しながら全社予測データとして活用していく必要があります。そのため、現在、2017年より導入してきたSPV※2のさらなる活用を進め、予測の基礎となるデータの拡充へ向けた取り組みに注力しています。

※2 SPV(Smart Performance Visualization Platform):国内業績管理システム

財務人財のさらなる育成に向けて

KKRとともに進めるキャッシュ・フロー経営の深化に向けて、こうした各現場での取り組みだけでなく、財務経理部門の人財教育の強化も進めています。その一環として、キャッシュ・フロー計画の策定に必要な財務モデリング教育に注力しており、座学を実施するだけでなく「財務モデリングコンテスト」を開催するなど、楽しみながら実践的なスキルを身につける取り組みを強化しています。

投資家をはじめとするステークホルダーの皆様との対話に、これまで以上に注力します

一連の資本政策を経て、当社株式は2023年2月に非上場となりましたが、当社グループとKKRは新たなステージとして再上場を見据えていることから、今後も公正で透明性の高い情報の適時・適切な開示を継続していくほか、引き続きステークホルダーの皆様との建設的な対話に注力していきます。
そして、「LOGISTEED2024/2030」への取り組みを通じてさらなる企業価値向上を実現することで、皆様のご期待にお応えしていく所存です。ステークホルダーの皆様には、引き続き変わらぬご支援・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

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