ページの本文へ

ロジスティード

統合報告書2023 オンライン版

To Our Stakeholders ─ 社長メッセージ ─

世界中で総合物流を展開

「グローバル3PLリーディングカンパニー」の実現に向けて、現場起点の価値創造を牽引していきます。

2023年9月 代表取締役 社長執行役員(COO)
髙木 宏明

中期経営計画「LOGISTEED2024」1年目の総括

好業績に慢心せず、環境変化への感性を高め続ける

中期経営計画「LOGISTEED2024」の1年目であった2022年度の業績は、会長メッセージに記載の通り2期連続で過去最高業績を更新することができました。一方、足元では数年来続いてきたフォワーディング事業における運賃高止まりがコロナ前水準に戻りつつあるなど「潮目の変化」が顕著であることから、1年目の好業績に慢心することなく、環境変化への感性をさらに高め、迅速・柔軟に対応していく方針です。米中対立・ウクライナ危機等による地政学的リスクや世界的なインフレ、気候変動リスクのほか、労働力不足や業界の垣根を超えた競争激化等、当社グループを取り巻く事業環境は引き続き厳しく、不透明な状況にあります。「LOGISTEED2024」2年目である2023年度は、重点施策として掲げる「海外事業の強化・拡大」「新たな付加価値による事業領域の拡張」「スマートロジスティクスの進化」「ESG経営の基盤強化」の確実な実行に向けて、COOとしてのリーダーシップを発揮していきます。また、これら重点施策を確実に実行するうえではキャッシュの創出が重要であることから、コア事業である3PLをさらにジャンプアップさせる取り組みを進めています。
具体的には、「トップライン拡大」「輸送力強化」「調達コスト最適化」「販管費最適化」などを推進し、持続的な成長と企業価値向上につなげていきます。特に「トップライン拡大」については私自身が陣頭指揮をとり、従前から取り組んできた各種施策を拡充・強化しながら、集中的に取り組みます。

「LOGISTEED経済圏」の確立に向けて

現場起点の「LOGISTEED経済圏」の確立をめざす

当社グループのあり方と進むべき道を示した「LOGISTEED WAY」の「成功要件」に掲げた「安全・品質・生産性」のさらなる向上をめざすとともに、「金流」「商流」「情報流」「物流」の4流を束ねることでステークホルダーおよび協創パートナーで形成されるサプライチェーンをデザインします。4流での取り組みを通じて、エコシステムとして「LOGISTEED経済圏」の確立をめざします。
具体的には、まずフィジカル空間においては、従来の当社グループのサービスに加え「製造と物流の境界領域」のビジネスチャンスが広がっていることから、今後も付加価値サービス(VAS)やベンダー在庫管理方式(VMI)を拡充することで、お客様のバリューチェーンに寄与するサービスを提供していきます。
そしてサイバー空間においては、倉庫DX、輸送DX、サプライチェーンDX、金融DXを提供することで「金流」「商流」「情報流」「物流」の4流を束ね、実際にフィジカルで起きていることをデジタルデータとして収集します。それらのデータを用いてサイバー空間上で需要予測や作業予測を精緻化するなど、デジタルツインを活用し、当社のDX戦略の基本方針であるCPS※1をさらに拡張・発展させていきます。特に金流DXにおいてはWeb3(ブロックチェーン技術を使った分散型インターネット)による決済プラットフォームの構築を進め、物流周辺領域の「決済処理の早期化や安定化」「リスク低減」といった新たな価値を提供していくべく、さまざまなパートナーとの協創を拡充・加速していきます。

※1 Cyber Physical System

中期経営計画「LOGISTEED2024」2年目の重点施策

「グローバル3PLリーディングカンパニー」の実現に向けて着実な前進を図る

中期経営計画「LOGISTEED2024」の2年目となる2023年度は、引き続き各重点施策に取り組み、「グローバル3PLリーディングカンパニー」の実現に向けて着実に前進します。
まず重点施策「海外事業の強化・拡大」においては、2022年度はフォワーディング事業だけでなく、北米における大手建設機械メーカーの部品センター運営・輸送など3PL事業も伸長しました。また欧州では、チェコのVlková Partners s.r.o.のEC事業者向け返品物流事業の譲り受け、オランダで医薬品フォワーディング事業を展開するCyber Freight International Holding B.V.のM&Aといった取り組みが進展しました。また、インドではムンバイに倉庫を建設中で2023年度中に稼働予定であるほか、チェンナイ、バンガロールでも2024・2025年度までに倉庫を建設し、国内・国際輸送をあわせた地域完結型のワンストップサービスを提供していきます。新倉庫はいずれも複数荷主向けの大型物流センターとしての稼働を予定しており、高付加価値型物流サービスを提供していきます。中国では流通・産業系領域を軸として合肥、成都、重慶、武漢など内陸への事業拡大を図るほか、自動化・省人化設備導入も加速しながら着実な成長を図ります。
続いて重点施策「新たな付加価値による事業領域の拡張」においては、さまざまな業種の顧客課題や潜在ニーズの洗い出しと深掘りを進めており、引き続き付加価値サービス(VAS)の拡大を図ります。直近では自動車部品メーカーの工場内作業を開始しています。2023年度はSCDOSを活用したコンサルティングサービスとの連動も深め、顧客サプライチェーンの課題を解決することで事業拡大を加速していきます。
そして重点施策「スマートロジスティクスの進化」においては、2022年8月より稼働した量子コンピュータを活用した配車システムを拡大することで、車両台数とCO2排出量の削減、ドライバーの労働環境の改善など社会課題の解決に貢献していきます。また、新たな危険物倉庫を2023年度内に千葉県に開設し、化粧品・医薬品分野を中心とする危険物の取り扱い能力を増強していくほか、SSCVについては国内での拡販に加え、中国、タイなど海外での販売も進めていきます。

磨き続ける強み

中期経営計画「LOGISTEED2024」2年目におけるこれら一連の取り組みにおいては、当社グループがこれまで培ってきた強みである「オペレーション遂行力」「先進的なロジスティクスエンジニアリング力」「グローバルネットワーク」をさらに磨き、事業の盤石化とグローバル展開を加速していきます。
まず「オペレーション遂行力」のさらなる強化に向けては、物流に精通した多様な人財を今後も確保・育成していくほか、デジタル事業基盤をさらに進化させます。特にDXによる現場の見える化においては前述の通り「倉庫」「輸送」「サプライチェーン」「金融」の取り組みを継続するほか、物流センター内の安全への取り組みを加速するべく、「安全品質集中管理センター」を2023年1月に開設しました。今後は物流センター内の安全・品質・生産性・防犯等に関するさまざまなデータをデジタル事業基盤にて蓄積し、AI(人工知能)と連携していきます。これにより、人による監視に頼らず自動的に危険を予知・発報する仕組みを構築し、エクスターナルDXとして提供していくことをめざします。
続いて「先進的なロジスティクスエンジニアリング力」の強化にあたっては、データ分析の専門家を育成する独自の教育プログラムを実施し、デジタルリテラシーの底上げを図っています。また、前述の通り「金流」においてブロックチェーンを活用した決済プラットフォームを構築していきます。金流とベンダー在庫管理方式(VMI)を組み合わせることで、当社グループならではの新たな差別化ポイントとして磨いていく所存です。
そして「グローバルネットワーク」のさらなる強化に向けては、「LOGISTEED2030」で掲げる「2030年度売上収益1.5兆円、海外比率50%以上」の達成を見据え、海外M&Aへの取り組みをKohlberg Kravis Roberts & Co. L.P. (以下「KKR」)とともに加速します。候補先の検討にあたっては、候補先自身が自社の成長に向けたポリシーや目標等を明確に設定しているかを重視することで、買収後のシナジーを最大化していく考えです。一方、国内においても、2024年問題への対応やトップラインの拡大に向けて、自家輸送力の強化に向けたM&Aに注力していきます。

サステナビリティへの取り組み

持続的な成長と企業価値向上に向けて

中期経営計画「LOGISTEED2024」の重点施策「ESG経営の基盤強化」のもと、「脱炭素・循環型社会への貢献」「強靭で持続可能な物流サービスの構築・進化」「協創による新たな価値の創出」の3分野に注力することでサステナビリティへの取り組みを拡充し、持続的な成長と企業価値向上につなげていきます。
まず「脱炭素・循環型社会への貢献」においては、環境中長期目標2030/2050の達成に向けて「省エネ」「電化」「再エネ調達」「創エネ」「排出権取引」の各テーマごとの取り組みを展開していきます。これらのテーマを国内外で推進しているほか、事業を通じた脱炭素への貢献においても、SCDOSによる脱炭素モニタリングサービスの提供や国内外でのモーダルシフト、既存分野以外での共同配送等に取り組んでいきます。
また、「強靭で持続可能な物流サービスの構築・進化」においては、少子高齢化は日本だけでなく中国や欧州でも顕在化していることから、今後はグローバルでも安全への取り組みを含む物流業務の自動化・省人化を加速していきます。
そして「協創による新たな価値の創出」においては、マテリアリティ「成長を支える多様な人財の確保」のもとで人財戦略に注力し、DX人財やグローバル人財の育成、従業員エンゲージメントや女性管理職比率の向上へ向けて、各種KPI目標の達成に向けたPDCAを着実に回していきます。

ステークホルダーの皆様へ

「グローバル3PLリーディングカンパニー」へ向けた現場での取り組みを牽引していきます

以上お伝えした取り組みにより、当社グループは「LOGISTEED2030」でめざす姿「グローバル3PLリーディングカンパニー」を実現していきます。
私が考える「グローバル3PLリーディングカンパニー」とは、2030年度の数値目標を達成するだけでなく、世界中で「総合物流」を展開する企業を意味します。具体的には、事業軸では、全ての顧客業種に対し多様な物流サービス(倉庫運営、輸送、フォワーディング、重量機工、付加価値サービス(VAS)など)を総合的に提供できること。地域軸では、当社グループの拠点展開が不十分な南米、アフリカ、カナダ、北欧を含む世界の隅々までサービスを提供できること。これらを実現して初めて「グローバル3PLリーディングカンパニー」を体現できると考えており、当社グループはKKRとともに、最も効率的かつスピーディな手法で実現していきます。
私は入社以来38年間のほぼ全期間を通じて現場でのビジネスに尽力してきました。当社が創業以来積み上げてきた現場での価値創造に磨きをかけ、「グローバル3PLリーディングカンパニー」へ向けた取り組みを引き続き牽引していく所存です。
ステークホルダーの皆様には、引き続き変わらぬご支援・ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

お問い合わせ

お問い合わせをいただく前に、「個人情報保護に関して」をお読みいただき、記載されている内容に関してご同意いただく必要があります。ご同意いただける場合、本問い合わせ先までご連絡ください。なお、ご連絡いただいた個人情報は、お問い合わせに回答した時点で消去し、当社が保有することはありません。

IR情報に関するお問い合わせ