ページの本文へ

ロジスティード

INTERVIEW 04
INTERVIEW 04

新時代の安全な物流を実現するために、
輸送プロセスの一つ一つを
緻密に設計していく。

安岡 あゆ美 AYUMI YASUOKA

PROFILE

重量機工本部 第一営業部/2007年入社
自然科学研究科 理化学専攻 修了

2007年 東日本営業本部 日立営業部 重量エンジニアリンググループ 所属 
国内重量品輸送の計画・管理・現場立会いを担当
2008年(入社2年目) 海外研修制度にてドイツ現地法人へ出向 
日系企業の営業開発を1年間担当
2011年(入社5年目) 重量機工統括本部 営業開発部 所属 
重量品・設備機器などのフォワーディング、機工営業を担当
2017年(入社11年目) 産休・育休を1年間取得
2018年(入社12年目) 重量機工本部 第一営業部 所属 
重量品の国際輸送のエンジニアリング業務を担当
  ※所属については、掲載当時の内容となっております。

大型の貨物を世界中に届けるため、
専門知識と解析ツールで安全性を確保する

私が所属する重量機工本部は、発変電設備の機器や鉄道車両、工場の生産設備など、大型の重量品の輸送を取り扱う部門です。ときには、ビル一棟分に匹敵するようなサイズのプラント設備を運んだり工場の生産ラインを丸ごと移設したりすることもあります。

現在私が主に担当しているのは、エンジニアリング業務です。例えば、重量品の海上輸送では、船が積み荷の荷重に耐えられなければ、船体の破損や沈没といった重大事故につながります。安全性を確保するためには、輸送する貨物だけでなく、船の構造や材質、積載物の配置や架台などについても把握し、緻密に計画していかなければなりません。私たちエンジニアリング担当者は、図面を引き、荷役器材・固縛部材などの強度計算を行い、解析ツールも駆使して、安全性と作業性を詳細に検討しながら全体の輸送計画を立てていきます。

私は理系出身ですが、こうした解析方法を大学で学んだわけではありません。エンジニアリング業務の基礎は、入社後に配属された部署で学び、その後、営業担当としてお客さまのニーズを汲み取りながら、新たな分野を勉強したり知識を応用していくことで、実践的な力を身につけてきました。現在の担当になったのは約3年前。海洋上を航行する船体や貨物に働く加速度・作用力を解析する「船体応答解析」をはじめとした、より高度な専門性を求められるため、日々勉強しています。人命にも関わる事故に直結し、かつ製品設計段階から関わるなどお客さまに与える影響が大きい業務なので、身の引き締まる思いで仕事に取り組んでいますが、責任が大きい分、やりがいも感じています。

仕事風景1

現場でしか得られないリアルな知識
若手時代の経験が現在の糧に

今でこそデスクワークでの検討・管理業務が中心ですが、入社直後の配属先営業所では毎日のように現場に出ていました。港で貨物の船積みに立ち会う業務が多かったのですが、物流は多少の天候の変化によって止めるわけにはいきません。雨でも雪でも、炎天下であっても、屋外で油や埃にまみれながら仕事をしていました。それでも頑張れたのは、当時新人だった私に対し、先輩方はもちろん協力会社の作業員や現場の監督が材料や機器の細かな知識から作業方法や注意点まで、現場のノウハウを教えてくれたからです。輸送の現場で必要になる"リアルな知識"は、その後のキャリアで存分に生かされていると思います。

振り返ると、当時現場にいたのはほとんど男性。お客さまや協力会社も含め、女性は全くおらず、現場で女子トイレや更衣室がないことに困惑したこともありました。しかし最近では、女性社員も増え、現場に出て大活躍しています。そうした後輩たちの姿を見ていると、非常に頼もしく感じます。

女性が働きやすい環境づくりは、会社全体でも進んでいます。私は1年間の産休・育休を取得した後、現在子育て中ですが、在宅勤務が社内で定着したこともあって、とても育児をしやすくなりました。また時短勤務の制度があり、日々の育児・家事の時間を確保できるのも、仕事との両立をめざすうえで大変助かっています。

仕事風景2

グローバルな仕事をしたいという入社当時の想いは
やがて多国間をつなぐ大型プロジェクトへ

当社に入社したのは、グローバルな仕事がしたいという思いがあったからです。入社後も将来的に海外研修に行きたいと思っていたところ、2年目にしてドイツの現地法人に1年間赴任することに。日系企業への営業活動が担当業務だったのですが、見知らぬ土地で顧客を開拓することに最初は戸惑いを感じました。そうした中でドイツ人マネージャーから「あなただからできること」といわれ、気合いを入れて取り組んだのを覚えています。その後も海外で仕事をするチャンスに恵まれ、研修時代の経験を生かすことができました。
世界中に重量品を届ける重量機工本部は、プロジェクトの規模も壮大です。これまでのキャリアで最も印象に残っている仕事は、化学プラント設備の※三国間輸送。「モジュール」と呼ばれる、1基あたり数千トン、縦横高さが数十メートルといったサイズの製品を、世界でも数少ない大型の特殊船で輸送するプロジェクトでした。
※三国間輸送とは、海外から海外へ、日本を経由せずに行う多国間の輸送のこと。

営業取組み開始から作業完遂までの期間は3年間。モジュールは特殊なトレーラーで船内に運びこまなければならないのですが、1基積むのに1日かかることもあります。トレーラーが通過できるように、船と岸壁の高低差を潮の満ち引きを考慮してバラストコントロールする必要があり、作業可能な時間が制限されるからです。数千トンもの重量品を運ぶのに、数センチ、数ミリ単位の繊細な調整を行うわけですが、そうした一つ一つの細かな作業プロセスの検討を、製品設計段階から顧客・船会社をはじめとした多くの関係者と検討し調整していくため、多くの時間が必要になるのです。しかもこのプロジェクトは、育休明けでエンジニアリング業務の担当になった私にとっての初めての案件。厳しい納期のある業務を進めながら、家事と育児の合間を縫い、専門分野の勉強をする日々で、とにかく時間との闘いに苦労しました。

大きなプロジェクトほど、それを無事故で完遂したときの達成感は大きいです。また、一人では絶対にできない特殊なプロジェクトを、チーム力で実現する喜びもあり、新たに蓄積されたノウハウはビジネスを進める上での財産にもなります。

重量機工本部の仕事は営業から現場まで業務の幅が広く、常に緊張を強いられる大変な仕事です。しかし、学生時代に描いた「グローバルに活躍したい」というビジョンに向けて、一歩ずつ近づくイメージで努力し、困難を乗り越えてきたように思います。自分が積み上げた知識や経験で満足のいく計画をお客さまに提案し、安全に作業完遂を迎える。最後に感謝される嬉しさが、いつも私の原動力になっています。

仕事風景3

どんなに時代が変化しても
社会インフラを支えたい

現在、世界では脱炭素社会の実現が課題となっており、国内でも再生可能エネルギーの導入が重要視されています。SDGs(持続可能な開発目標)をはじめ、環境配慮への気運が高まる未来に向け、それに対応できないビジネスは持続できないでしょう。

地球規模の問題に対し、物流が果たす役割は大きいと思います。エネルギーサプライチェーンが脱炭素燃料にシフトし、私たちが運ぶ物も、運び方も変わる。そうした中でも、当社の重量機工事業は発電設備やプラント設備、鉄道といった暮らしを豊かにする社会インフラを運んできた歴史があり、創業当初から蓄積してきた専門技術とノウハウ、国内外の専門スタッフや協創パートナーとのネットワークがあります。今後は、IoT・AI・ロボットなどのデジタル技術をはじめとした、テクノロジーの活用も武器に、輸送で社会インフラを支え、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと思っています。

仕事風景2

関連ページ