全国の医薬品物流センターを拡充し、医薬品物流に特化した保管と輸配送サービスを提供しています。GDP※におけるソフト面の強化を目的に、GDP推進に特化した専門組織を設置しGDP管理のための品質マネジメントシステムの整備を進めているほか、輸送中の温度トレースを目的に、次世代温度センサーの実証実験等も実施するなど、医薬品物流における品質保証の体制強化を図っています。2021年度は、先進的な医薬品物流センターにおいて、実施計画書や検査報告書の作成を含めた、GDPに準拠した温度マッピングサービスを低コストでお客さまへ提供しました。また、災害時における供給機能の継続に向けて、燃料調達のスキームの構築や医薬品の特性などを熟知した専属ドライバーの確保といったBCP体制を整えています。今後も、複雑化する流通経路の適正管理に取り組むことで、高品質な医薬品物流の維持に貢献していきます。
医薬品取り扱い物流センターの保有面積:8万2千坪(2022年3月末時点)
うち、GDPに準拠した物流センターの標準装備
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※GDP (Good Distribution Practice): 輸送・保管中にも劣化しないように厳密な品質管理の確保を目的とした「医薬品の適正流通基準」。
現在、世界全体で脱炭素社会に向けた動きが加速しています。日本も2050年までに「カーボンニュートラル」を達成するという目標をかかげており、その達成には、再生可能エネルギーの主力電源化が不可欠であるとされています。そのような中、当社グループは2021年度に、再生可能エネルギーの拡大に貢献する社会インフラ関連機器輸送の取り組みとして北海道蘭越町にて陸上風車輸送を手掛けました。陸上風車の建設地までの輸送経路には、一般的なトラック、トレーラが登坂不可能な急勾配、狭隘な山道がありましたが、当社グループが所有する多軸式トレーラ「マルチキャリア」を使用することにより、山麓から山頂までの運搬が可能となりました。今回実施した輸送作業は、電力プラント設備の輸送事業で長年にわたり培ってきた技術力や経験を活かし、建設会社をはじめ地域協力企業との緊密な連携を図ることで完遂につなげました。現在も国内外の各地で、風力、バイオマス、太陽光発電などの再生可能エネルギー事業の輸送に携わり、脱炭素社会の実現に向けた活動を推進しています。
当社グループは、大切な製品を安全かつ確実にお届けするトータルソリューションを提供を通じてお客さまの事業活動や再生可能エネルギーの普及をサポートし、持続可能な社会に貢献していきます。
当社グループは、人手不足といった社会課題に対応すべく、物流現場への新技術・省人化技術の実装を推進し、現場運営の自動化・省人化を進めています。新技術・省人化技術を物流現場に導入することで、作業者の負担軽減にもつながり、安全かつ安定した持続可能な物流運営体制の確立を実現していきます。
2021年度に導入した主な設備
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トレイに投入したピース出荷品を順立機内で一時保管し、納品先単位で纏めて自動排出することで作業生産性の向上に努めています。2018年度より導入を進め、現在、5カ所の事業所で導入しています。
医薬A事業所
アパレルB事業所
アパレルC事業所
アパレルD事業所
医薬E事業所
移動パレットラックや垂直搬送機、自動倉庫と連動し、夜間含めたパレット荷役(入出庫)・搬送を自動化しています。2018年度より導入を進め、現在、4カ所の事業所で導入しています。
医薬A事業所
医薬E事業所
日雑品F事業所
医薬G事業所
人手によるピック&プレース工程を、各製品の特性に応じた仕様のピースピッキングロボットに置き換え、単純作業の省人化を推進しています。2019年度より導入を進め、現在、3カ所の事業所で導入しています。
アパレルC事業所
医薬A事業所
アパレルB事業所
ケース単位で出荷する商品の、パレットからコンベヤラインへの積み下ろしやコンベヤラインからカゴ車等への積み付け作業にデパレタイザーやパレタイザーを活用することで、重筋作業の削減と省人化につなげています。2019年度より導入を進め、現在、7カ所の事業所で導入しています。
医薬E事業所
流通H事業所
流通I事業所
流通J事業所
医薬G事業所
流通K事業所
流通L事業所
パレットの搬送等のほか、棚搬送型ピッキングシステムとして活用し、搬送やピッキング作業の省人化を推進しています。2014年度より導入を進め、現在5カ所の事業所で導入しています。
アパレルC事業所
医薬M事業所
通販N事業所
日雑品O事業所
医薬G事業所
近年、小売業界における商品管理上の課題解決として近距離無線通信であるRFID※技術の導入が期待されていますが、高コストがボトルネックとなり、普及が進んでいないのが現状です。当社では2017年度よりRFID技術の物流現場への実装に向け研究を重ねてきましたが、レンタル、サブスクリプション、シェアリングなどに代表される利用・体験型サービスを提供するお客さま向けの物流サービスにおいてRFID技術の実装を実現しました。
具体的には、レンタル品等の入出荷や返却の際の商品管理にRFID技術を活用しています。これまでのバーコード式では、バーコードリーダーでの商品毎の読み取りが必要でしたが、RFID技術の導入により、RFIDリーダーが、商品毎に貼付された現在の状態が書き込まれたICタグを複数かつ一括で読み取ることが可能となったため、作業者の負担軽減につながっています。また、RFID技術の商品管理への実装は、循環型のモノの利用という新たな消費サイクルを支援する物流サービスを実現しています。2021年度は、ファッション・サブスクサービスに新たに参入するお客さまへサービスの提供を開始しました。RFID技術を活用した物流サービスの開発により、レンタル・サブスクサービス提供者と利用者の利便性の向上に貢献しています。
※RFID(Radio Frequency Identification):電波を介して情報を読み取る非接触型の自動認識技術
当社グループでは、医薬品等の製造・販売の事業継続性の重要度を鑑み、パンデミックや労働力不足による物流の遅延・停滞や物流コスト上昇への対応策として、メディカル物流センターの省人化と複数のお客さまによるシェアリング利用を積極的に推進しています。
2020年度に開設した東日本第二メディカルセンター(埼玉県加須市)では、当社が独自開発したRCS※を導入することで、メーカーが異なるさまざまな自動化設備の複雑な制御連携が可能となり、出荷比率の高いケース荷姿の商品の荷受けから方面別に仕分けされた出荷荷揃えまでの一連の作業工程の完全無人化を実現しました。また、複数のお客さまに利用いただけるシェアリング型の運用形態の実現に向け、融通性を兼ね備えた自動化設備の導入を優先的に進めています。お客さまの将来の販売チャネルの変化や物量増減等で生じる物流コストの上昇リスクを柔軟な対応で低減し、事業継続性に貢献していきます。
※RCS(Resource Control System):物流センター内の自動化設備の稼働情報および作業者の実績情報を把握し、各設備や作業者への指示を行う作業実行機能を備えた統合制御システム
「SSCV」は、テクノロジーとオープンな協創を通じて輸送事業をアップデートするデジタルプラットフォームであり、以下の3つのソリューションから構成されています。
物流会社だからこそ提供できる現場発想のサービスで、さまざまな課題を解決し、輸送と社会をよりよい未来へつなぎ、持続可能な社会の実現へ貢献していきます。
「SSCV-Safety」は、当社が物流を実業とする企業として長年事故と向き合い安全を追求してきた結果生み出した、"事故ゼロ"をめざすソリューションです。ドライバー向けの体調測定機能と、管理者向けのダッシュボード機能が連動し、リアルタイムで事故につながるヒヤリハットを検知。データを一元管理し可視化することで、事故を未然に防ぐだけでなく、運行後の振り返りを行うことも可能です。2021年度は、運行中のドライバー向けの即時アラートや事故多発地点情報の可視化のほか多数の機能を拡張し、システム全体の性能向上を図りました。今後も、引き続き機能強化と精度向上に取り組んでいきます。
状況 | 機能 | 特徴 | |
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運行前 | 予測する | ・体調総合判定 ・ヒヤリハット予報 |
漫然運転につながるドライバーの「疲労」や「ストレス」を可視化し、事故リスクを独自のアルゴリズムで事前に予測 |
運行中 | 見守る | ・危険走行注意喚起 ・有事情報通知 ・車両位置、疲労レベル見守り ・IoTボタンによる危険検知 |
危険な状況(運転、疲労レベル)を検知しドライバーにその場で知らせるとともに、管理者がその状況を把握できることで、ヒヤリハットを事後ではなくリアルタイムで摘み取ることが可能 |
運行後 | 振り返る | ・運行ルート ・危険運転動画 ・運転評価コメント入力 |
経験と勘で判断していた事故のリスクを見える化し、事実とデータに基づいてドライバーを教育・評価できる環境を提供することで、事故を未然に防ぐ体制作りをサポート |
当社グループでは、2019年度から本格的に国内の事業用トラックや自家用車両への「SSCV-Safety」の導入をすすめ、2021年度にすべての車両約2,200台への導入を完了しました。導入後は漫然運転に起因した車両事故ゼロを継続し事故発生の抑制につなげています。2021年7月からは、当社グループ以外の輸送事業者へのサービス提供を開始し、「SSCV-Safety」の普及に取り組んでいます。また、「SSCV-Safety」は、厚生労働省の調査事業や国土交通省の実証実験に採用されるなど、社会課題の解決に向けた取り組みに活用されています。
中小企業が多くを占めるトラック運送業界では、さまざまな管理業務を電話やFAX、紙で行っている会社が少なくありません。当社が開発した「SSCV-Smart」は、業務の効率化に向け、受発注管理、配車管理、運行管理、会計管理、労務管理、調達管理など、物流会社の視点で必要な機能を網羅した荷主と輸送事業者のための輸送業務支援ソリューションです。
「SSCV-Smart」は、荷主と輸送事業者をインターネットでつなぐWebシステムです。輸送案件の獲得から配車、運行指示書の発行、請求までをシステム上で一元管理できるため、事業効率化・収益改善に寄与します。2021年度は、当社グループの輸送センターと地域の輸送協力パートナー(60社)に導入しました。
車両の管理は、点検や整備、保険の更新など多岐にわたり煩雑であるとともに、法令遵守が求められ、管理の不備は大きなリスクにつながります。「SSCV-Vehicle」は、物流会社ならではの視点とテクノロジーを融合した新たな車両管理のためのソリューションです。
車の調達から買取までの各々の管理業務を一元化しサポート。現在は、IoT技術・ビッグデータを活用した遠隔診断や故障予兆アラートなど予防診断機能の開発を進めています。そして、提供サービスから得たビッグデータを利活用することで新たなビジネスモデルを構築し、社会課題の解決につなげていきます。
グローバルサプライチェーンソリューションプロバイダの具現化や業務効率化に向けて、AIを活用した物量予測技術の確立と、予測技術を活用した新ソリューションの開発に取り組んでいます。
AIを活用した高精度の物量予測をもとに物流センターの在庫最適化等を行うことで、運営の効率化をめざしています。2021年度は、これまで設計・実証を検討してきた物流予測ツールの物流現場への導入を進め、30件の実装を実現しました。現在、物流予測ツールの活用事例は累計で50件まで拡大しています。
物量予測ツール活用事例数 (2022年3月末時点:累計) | 50件 |
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物流リソース(倉庫・トラック)の受容能力や運用効率を考慮した供給計画の立案により、お客さまのサプライチェーン最適化への貢献をめざして取り組んでいます。2021年度は、前年度までにお客さまとの共同研究により開発した在庫最適化ソリューションのサービス化を実現し、提供を開始しました。
企業が適正在庫を維持することは、ムダな保管コスト抑制や製品の品質維持かつ安定的な供給につながりますが、実現に向けてはタイムリーな在庫の補充判断が欠かせません。当社では、物流工程で発生する多岐にわたるデータの活用による在庫分析・評価と予測技術の活用による在庫の補充発注業務の実行支援を通じた、お客さまのロジスティクス最適化への貢献をめざしています。2021年度は、物流センターを起点に在庫適正化アプローチの検討を行い、シミュレーションによる効果検証を経て、実際の物流現場での実効性の検証に取り組みました。
ブロックチェーン※を用いて、商品の輸配送作業とそれに伴う対価の支払いを迅速化する仕組みづくりに取り組むなど、お客さまのサプライチェーン円滑化への貢献をめざして研究を行っています。
2021年度は、貿易業務の情報一元化に関する仮説の検証を完了しました。現在は、サービス化に向けた次の段階の研究を進めています。
※ブロックチェーン:デジタルに管理される台帳のこと。「分散型台帳技術」とも言われる。
お客さまのサプライチェーンの課題をデータに基づいて発見し解決するデータサイエンティストを育成しています。2021年度は19名が育成講座を受講しました。
データサイエンティスト育成講座受講者数 (2022年3月末時点:累計) | 83名 |
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