人財マネジメント
当社グループは、多様な人財が活躍する企業をめざしてさまざまな取り組みを行っています。
人的資本への対応方針
当社グループでは、中長期的にめざす姿である「LOGISTEED2030」の実現に向けて、「LOGISTEED WAY」を実践/牽引できる人財の育成とその総合力が発揮される組織の実現に取り組んでいます。人財と組織の状態を可視化する仕組みをそれぞれに構築しており、「人財力の強化(チェンジリーダー育成)」及び「組織の活性化」の各種施策を実行するとともに、その効果をモニタリングし各種施策の継続的な改善に繋げるPDCAを実行しています。

人財の確保・定着
中期的にめざす姿である「LOGISTEED2030」に向けて、DX人財およびグローバル人財の積極的な確保と、その早期定着のための各種施策を推進しています。
事業戦略に沿った人財の確保
DX人財の確保
ダイレクトリクルーティングを活用した採用のほか、これまで物流業界との関わりが少なかった方々に興味をもってもらうために、インターンシップや社員との座談会などの開催を通じて、物流DXに触れていただく機会を設けています。
2024年度は、6月から12月にかけて業界研究インターンを13回、1月と2月に業種別インターンを8回(3PL:5回、DX:3回)開催し、500名を超える学生が参加しました。
グローバル人財の確保
実践的な語学力に加え、各国・地域の文化やビジネス環境を理解し、海外事業の強化、拡大に向け、今後のグローバル化を共に進めていける人財の確保に力を入れています。また、新卒採用では外国籍社員を積極的に採用し、周囲の社員の異文化理解、グローバル化にも努めています。
新卒採用社員における外国籍社員の割合
対象範囲:当社
| 新卒採用社員における外国籍社員の割合 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|---|
| 8% | 11% | 14% |
人財の早期定着
オンボーディングプログラム
若手社員や経験者採用者を対象に、LOGISTEED WAYの理解浸透、安全、法令遵守などの研修を実施しています。
若手社員定着化への取り組み
キャリアの「わたくしごと化」を目的とした研修を実施しています。2024年度は、管理職向けおよび若手社員向けの階層別研修でのキャリア研修を実施し、353名が受講しました。また、メンター制度では、配属部署の上司だけでなく、指導・相談役となる先輩社員が若手社員のキャリア形成のサポートを行っています。若手社員が、多様な職務を経験したメンターとの対話を通じ、当社グループでのキャリアに関する視野を広げ、理解を深める機会としています。
サーベイやキャリア面談の実施
若手社員を対象に、配属されている組織に対する参画意識や生産性に関する改善意識などを測るサーベイを実施し、その結果を用いて上長向けにマネジメントに関するアドバイスの提供を行っています。またメンター制度の導入や定期的なキャリア面談の実施により、人財定着率の向上を図っています。
人財育成・能力開発
当社グループでは、従業員一人ひとりの主体的な能力開発支援に取り組んでいます。役職や主要ポジションごとに求められるスキルを整理し、階層別教育のほか、物流拠点マネジメントやロジスティクステクノロジーなどの専門教育を体系的に整備し、従業員の成長ステップに応じた教育機会を提供しています。また定期的なスキル調査により、個々人のあるべき姿とのギャップを見える化し、それぞれの育成テーマに応じた教育プログラムを受講できる環境を整備しています。さらに、管理職を対象とした育成マネジメント支援プログラムを提供し、職場内における能力開発環境のレベル向上に取り組んでいます。
ロジスティードグループ教育体系
グループ共通の教育体系を策定し、全従業員を対象に実践的かつ専門的な研修を実施しています。階層別研修、現場力強化研修、管理職研修といった研修に加え、全従業員の基礎力向上・コミュニケーションの促進を目的とした「全員研修」や、3PL事業を担う中核人財を育成する研修を独自に開発し、さらなる事業基盤強化を見据えた人財育成を行っています。2022年度からは、当社の主力事業で必要となる専門知識の早期習得を目的とした従来の教育に加え、中期経営計画「LOGISTEED2024」の実現に必要な重点テーマとして、DX人財やグローバル人財などの育成施策も行っています。
自律的キャリア形成に向けた研修
社員の自律的キャリア形成を促進するため、2019年度より階層別教育を中心に「キャリア研修」を実施しています。 また、キャリア支援のための「スキル研修」を汎用的なビジネススキルと当社事業固有の専門スキルを強化する教育プログラムに分けて展開しています。 (2024年度「スキル研修」の受講者数:19,197名(延べ受講者数)/国内グループ社員(11,099名)に対する受講率:173.0%)
教育プログラムの受講状況
対象範囲:当社、国内グループ会社
| キャリア研修(2019年度~2024年度累計) | 受講者数 | |
|---|---|---|
| 階層別教育 | 入社4年目研修 | 542名 |
| 係長職研修 | 304名 | |
| 課長職研修 | 218名 | |
| その他の教育 | 配属先上司向け研修 | 288名 |
| 女性社員向けキャリア開発研修 | 177名 | |
| オンライン講座 | 374名 | |
| 合計 | 1,903名 | |
| スキル研修(2024年度) | 延べ受講者数 | |
| 専門スキル | 3,496名 | |
| ビジネススキル | 15,701名 | |
| 合計 | 19,197名 | |
DX人財の育成
ITを活用した新たな事業の創造を担うDX人財の確保のため、従来の教育体系に加え、DX教育の充実化を図っています。従業員を対象としたスキル調査(ITリテラシー×IT業務活用度)の結果を踏まえ、従業員それぞれのレベルに応じた教育施策を展開しています。具体的には、ITリテラシー向上対象者には、DXについての基礎知識を学ぶ「DXマインドセット研修」をeラーニングで実施している他、IT業務活用レベル向上対象者へは、「DXマインド醸成プログラム」や、DX実践力の強化を目的とした「DX技術スキル強化研修」等の専門教育も行っています。
DX人財育成に向けた教育の受講者数
対象範囲:当社、国内グループ会社
| リテラシー強化の実施(全員研修) | 2024年度 |
|---|---|
| DXマインドセット研修 | 14,408名 |
| DX人財育成研修の実施(修了者) | 2024年度(累計) |
| DX事業推進人財強化 | 延べ618名 |
| DX技術スキル強化 | 延べ670名 |
| DXマインド醸成プログラム | 延べ4,152名 |
グローバル人財の育成
グローバルコミュニケーション教育、海外業務研修制度などのプログラムにより、グローバルな志向と高い専門性を有し、文化や価値観の違いを超えビジネスに貢献する人財の育成を行っています。経営人財を含む主要ポストの後継者育成計画の策定等、グローバル全体での人財の見える化、育成を推進しています。
国内人財向けには、若手の早期選抜、従業員のキャリアステージを踏まえた海外業務研修制度、海外赴任者育成研修の実施、実践的なコミュニケーションスキルの向上を目的とした学習機会の提供等などに取り組んでいます。
海外人財については、LOGISTEED WAY、人権等のグローバル共通の必須プログラムを継続的に実施しています。今後は、経営人財向け育成プログラムのブラッシュアップ、3PL・DXなどの専門スキル教育の拡充、並びに日本若しくは第三国での集合研修、人事ローテーション等を推進し、国や地域を超えて多様な人を巻き込み、グローバルワイドでビジネスをリードできる国内外の「グローバル人財」の育成を図っていきます。
海外業務研修制度
若手従業員への海外経験の機会の提供、グローバル人財としての育成を目的に、1989年より海外業務研修制度を実施しています。 「グローバルサプライチェーンにおいて最も選ばれるソューションプロバイダ」を経営ビジョンとする当社グループにとって、グローバルな思考と高い専門性を有し、文化や価値観の違いを超えビジネスに貢献する人財の育成が不可欠です。
1年間の研修を終えた研修生は、各人が取り組んだテーマにおいて直面した課題、実施した改善提案とその成果、現地での経験に基づく会社への提言、今後の行動目標などを英語で報告するほか、研修生同士で意見交換も行います。直近5年間で、海外業務研修制度により若手従業員が派遣された国や地域は、15にのぼります。今後は、海外業務研修制度の対象に、海外人財を含めるなどのブラッシュアップを図っていきます。
対象範囲:当社、国内グループ
|
若手従業員の海外業務研修制度への派遣人数 (2024年度) |
12名 |
|---|---|
|
若手従業員の海外業務研修制度の派遣先 (2018年度から2024年度) |
15カ国/地域 |
海外赴任者の育成
国や地域を超えて多様な人を巻き込み、グローバルワイドでビジネスをリードするために必要な、異文化理解、グローバルマインドの醸成、 方針策定・展開、ピープルマネジメント、リスクマネジメントなどについて、職位レベルに応じた実践的なプログラムを提供しています。 その他、英語能力試験の受験費用の補助、「読む・聞く・書く・話す」を含めた英語による実践的なコミュニケーション能力を養う自主参加型プログラム の提供など、自発的な行動を促す制度や機会を設けています。
海外人財スキルアップ教育の充実化
エンジニアリングスタッフを対象とした、倉庫作業ワークフロー・レイアウト設計、新技術・マテハン設備導入などの座学、現場見学、ディスカッションなどのカリキュラムを組み合わせた、日本での短期実践研修を開催しています。他にも、短期・中長期の日本での出向受入、並びに各種専門人財の日本を介さないグローバルローテーションの実施など、専門分野、スキルレベル、キャリアステージを踏まえた更なる教育機会の企画・検討、実施を進めています。
LOGISTEED WAY浸透教育の海外展開
海外現法各社のHR部門と連携し、経営幹部との対話、グループワーク、ディスカッションを通じたLOGISTEED WAYの概念、期待される行動、日々の業務への落とし込み方などの理解・実践を促す浸透教育を実施し、グループ全体のエンゲージメントの向上を図っています。
グローバル従業員データベースの構築
地域・国・会社で異なっていた従業員データを同じ粒度に揃えることにより、海外グループ会社の人財情報をグローバル標準で可視化し、タレントマネジメントの基盤となるグローバル従業員データベースを構築してきました。2024年度はアジアを中心に11カ国、15社への導入が完了しています。グローバル従業員データベースの稼働により、日本国内において開示している従業員基本データと同様のデータを集計することが可能となりました。今後も地域・国・会社を拡大し、タレントマネジメントに活用していきます。
| 項目 | 東アジア | アジア太平洋地域 |
|---|---|---|
| 従業員数(名) | 753 | 3,120 |
| 平均勤続年数(年) | 9.9 | 6.6 |
| 女性の管理職比率(%) | 39.7% | 36.0% |
| 男女賃金差異(%) | 100.1% | 116.9% |
- 人員データは2025年3月31日時点のグローバル従業員データベースに基づく
- 女性管理職比率は、女性の管理職数 ÷ 管理職数 × 100(%)で計算したもの
- 男女の賃金差異は、男性の平均給与水準を100とした場合の女性の平均給与水準の指数値であり、女性従業員の平均給与÷男性従業員の平均給与×100%で計算したもの。平均給与は、従業員の昇給実績として、2024年度の各社報告に基づく基本報酬額を使用
自己啓発制度
従業員の期待役割が多様化している中で、主体的なキャリア開発の支援を行っています。職場単位でのキャリアデザインを浸透させることを目的に、上司と部下のコミュニケーション活性化の支援プログラムとしてキャリアデザイン研修の実施を推進しています。また支援環境の一つとして「通信講座」を100プログラム程度を開講し、それぞれの職場で必要とされるユニバーサルスキルをリアルタイムで習得できる環境を提供しています。さらに、2024年度には、国内グループ会社従業員を対象に、スキル調査の結果を踏まえた個々人の課題に必要なスキル習得を促すため、社外の公開講座を受講できる仕組みを導入し、327名が受講しました。
参考:1人当たり教育費と教育時間(2024年度)
対象範囲:当社、国内グループ会社※
| 1人当たり教育費(正社員) | 39,045円 |
|---|---|
| 1人当たり教育時間(正社員) | 17.1時間 |
| 教育時間合計(正社員) | 189,540時間 |
- ※アルプス物流グループを除く
人事制度基盤の構築
事業領域の拡大と新たな付加価値の創出に全社が一体となって取り組むために、グループ共通の「ジョブ型人事制度」の導入と 「人事マネジメントシステム」の構築を進めています。従業員一人ひとりの自律的な役割遂行意識の醸成、未知への挑戦意欲や自己成長を促すとともに、行動・プロセスと成果を今まで以上に評価や処遇に反映させることにより、従業員の納得感や達成感を高め、グループ全体のより大きな価値創出の実現をめざしています。
ジョブ型人事制度の導入
ジョブ型人事制度導入に向け、「適所適財」での柔軟な人財ローテーションが行えるようグループ内で組織設置基準の統一を推進しています。さらに役割を明確化・明文化したポジションプロファイルを作成し、「ポジション」の評価基準に応じた処遇制度への転換を進めています。
国内外グループの人事マネジメントシステムの構築
ポジション毎に求められる役割や必要なスキルなどを明確にしたジョブディスクリプションを策定し、年功序列ではなく役割に応じた公正な評価を処遇に反映、また従業員が自律的にキャリアを構築できる「ジョブ型人事制度」への転換を進めています。
従業員エンゲージメントの向上
持続的な成長を実現するためには、従業員と会社のつながりの強さ、エンゲージメントが重要になっています。エンゲージメントを高めるためには、当社グループのあり方と進むべき道を示し、従業員一人ひとりをつなぐ軸となる「LOGISTEED WAY」の理解浸透を欠かすことはできません。また、エンゲージメントサーベイの実施によるモニタリングとその調査から浮き彫りになった課題に対してフォローアップし、エンゲージメントの向上と従業員一人ひとりが生き生きと働き続けられる会社をめざします。
LOGISTEED WAYの浸透
「LOGISTEED WAY」の考え方が、従業員一人ひとりの行動や判断基準に定着するよう、職場懇談会、各階層別研修やeラーニングなどの定期教育、VC活動などの取り組みを継続的に実施しています。また、2024年度は海外グループ会社対話セッションをアジア現法にて実施し、海外も含めて「LOGISTEED WAY」の浸透を図っています。
モニタリング
従業員エンゲージメントサーベイ
当社グループでは、組織活性化や従業員のエンゲージメント向上に向けて、年1回、エンゲージメント調査を行っています。結果については詳細を分析し、社内課題を抽出の上、課題解決に向けた取り組みを行いながら、従業員のエンゲージメント向上を図っています。また、海外については2024年度に主要会社(26社)で実施し、2025年度は連結グループ会社に拡大し実施していきます。
対象範囲:当社、国内グループ会社、海外グループ会社
|
「持続可能なエンゲージメント」スコア※1 (2024年度) |
74※2 |
|---|
- ※1貢献意欲や帰属意識などに関する設問によって測定される企業の成長性との相関性が高い指標。目標値を設定しエンゲージメント向上につなげている。
- ※2好意的回答の合計スコア
フォローアップ
エンゲージメントサーベイ結果は経年で分析を行い、経営・人事・職場ごとに課題の洗い出し・対策の検討・実施のサイクルを回し、組織活性化に取り組んでいます。 2024年度はサーベイ結果について、取締役会や執行役員会議等の経営会議で共有するとともに、エンゲージメント向上に向けた各組織の取り組み事例をグループ内で共有し、課題の整理と改善施策検討を行い全社的な改善活動に繋げています。具体的な施策として経営幹部と従業員の対話セッションの開催、経営幹部による「LOGISTEED WAY」の理解浸透教育や管理職向けマネジメント力強化研修などの施策を実施しています。
従業員データ
従業員に関するデータを下記にて一覧でまとめています。