• サービス

お客さまとともに

私たちは、物流業という産業やくらしを支える社会インフラとしての役割を果たすとともに、物流領域を超えたお客さまとの協創により、さまざまな環境・社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献していきます。

強靭で持続可能な物流サービスの構築に向けて

医薬品のGDPに準拠した保管・輸配送の実施

全国の医薬品物流センターを拡充し、医薬品物流に特化した保管と輸配送サービスを提供しています。GDP※1におけるソフト面の強化を目的に、GDP推進に特化した専門組織を設置しGDP管理のための品質マネジメントシステムの整備を進めているほか、輸送中の温度トレースを目的に、次世代温度センサーの実証実験等も実施するなど、医薬品物流における品質保証の体制強化を図っています。2021年度は、先進的な医薬品物流センターにおいて、実施計画書や報告書の作成を含めた、GDPに準拠した温度マッピングサービスを低コストでお客さまへ提供しました。また、災害時における供給機能の継続に向けて、燃料調達のスキームの構築や医薬品の特性などを熟知した専属ドライバーの確保といったBCP体制を整えています。

2023年度は、GDP必須要件である温度管理のソフト面強化を行うため、温度管理システムを導入しました。本システム導入により、先進の医薬品物流センターにおけるリアルタイム温度モニタリングを実現し、アラーム発報時の即時対応を可能としました。また、温度管理システムを使用することで、「重要な記録データの集約管理」「永続的な温度データ保管」「セキュリティ性・信頼性の高い基盤での管理」が可能となり、コンピュータ化システムバリデーション対応も実施しております。さらに、品質管理と運営力のさらなる強化を目的に構築した「GDP動画教育」では、2023年度より、「基礎教育編」に加え「中級編」を実施しました。その他にも、GDP文書記録管理の効率化とデータインテグリティ強化に向けて、製造領域と同レベルの機能を備えた文書記録管理システム(HITQUAA※2)を関東および関西の主要拠点に導入しました。今後は、倉庫内の温度管理に加え輸送中の温度管理に関する標準システムについても、開発・導入を進めていきます。

海外においてはLOGISTEED Hong Kong, Ltd.が香港国際空港における医薬品輸送品質認証「CEIV Pharma」を2023年1月に取得しました。

今後も、複雑化する流通経路の適正管理に取り組むことで、高品質な医薬品物流の維持に貢献していきます。

  • ※1GDP (Good Distribution Practice): 輸送・保管中にも劣化しないように厳密な品質管理の確保を目的とした「医薬品の適正流通基準」。
  • ※2「HITQUAA(ヒットキュア)」は(株)日立産業制御ソリューションズの登録商標
東日本第二メディカル物流センター(埼玉北)

医薬品取り扱い物流センターの保有面積:8万2千坪(2024年3月末時点)

うち、GDPに準拠した物流センターの標準装備

  • ドックシェルター
  • 温度センサー校正
  • 全館空調
  • 非常用自家発電装置
  • アラーム発報管理
  • 入室セキュリティ

GDP教育プログラム参加者

GDP推進会議参加者(2023年度) 6回、延べ178名参加
GDP動画教育受講者(2023年度) 9回、延べ1,527名受講

メディカルプラットフォーム

自動化・省人化技術および設備の導入

当社グループは、人手不足といった社会課題に対応すべく、物流現場への自動化・省人化技術の実装および設備導入を推進し、作業者の負担軽減につなげ、安全・安心で働きやすい職場と持続可能な物流運営体制の確立を実現していきます。

2023年度に導入した主な設備

自動化・省力化設備の導入をすすめ、2022年度と比較し年100FTE分の省力化を実現しました。

  • ピース順立機
  • デパレタイザー/パレタイザー
  • 無人フォークリフト
  • AGV(Automatic Guiding Vehicle:無人搬送車)
  • ピースピッキングロボット

FTE (Full-Time Equivalent):フルタイム当量。組織の人員がフルタイムで勤務した時の仕事量を表す単位

導入済みの主な設備

ピース順立機

トレイに投入したピース出荷品を順立機内で一時保管し、納品先単位で纏めて自動排出することで作業生産性の向上に努めています。2018年度より導入を進め、現在、5カ所の事業所で導入しています。

順立機A

医薬A事業所

順立機B

アパレルB事業所

順立機C

アパレルC事業所

順立機D

アパレルD事業所

順立機E

医薬E事業所

無人フォークリフト

移動パレットラックや垂直搬送機、自動倉庫と連動し、夜間含めたパレット荷役(入出庫)・搬送を自動化しています。2018年度より導入を進め、現在、3カ所の事業所で導入しています。

無人フォークリフトE

医薬E事業所

無人フォークリフトF

日雑品F事業所

無人フォークリフトG

医薬G事業所

ピースピッキングロボット

人手によるピック&プレース工程を、各製品の特性に応じた仕様のピースピッキングロボットに置き換え、単純作業の省人化を推進しています。2019年度より導入を進め、現在、3カ所の事業所で導入実績があります。

ピースピッキングロボットC

アパレルC事業所

ピースピッキングロボットA

医薬A事業所

ピースピッキングロボットB

アパレルB事業所

デパレタイザー/パレタイザー

ケース単位で出荷する商品の、パレットからコンベヤラインへの積み下ろしやコンベヤラインからカゴ車等への積み付け作業にデパレタイザーやパレタイザーを活用することで、重筋作業の削減と省人化につなげています。2019年度より導入を進め、現在、10カ所の事業所で導入実績があります。

デパレタイザーE

医薬E事業所

デパレタイザーH

流通H事業所

デパレタイザーI

流通I事業所

デパレタイザーJ

流通J事業所

デパレ/パレタイザーG

医薬G事業所

デパレ/パレタイザーK

流通K事業所

パレタイザーL

流通L事業所

デパレ/パレタイザーQ

流通Q事業所

デパレ/パレタイザーR

流通R事業所

デパレ/パレタイザーW

流通W事業所

AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)

パレットの搬送等のほか、棚搬送型ピッキングシステムや小物商品の仕分けシステムとして、搬送やピッキング・仕分け作業の省人化を推進しています。2014年度より導入を進め、現在8カ所の事業所で導入しています。

AGV C

アパレルC事業所

AGV M

医薬M事業所

AGV N

通販N事業所

AGV O

日雑品O事業所

AGV G

医薬G事業所

t-sort P

流通P事業所

流通U事業所

アパレルV事業所

AMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)

倉庫内での小物商品のピッキング業務にピッキングアシスタント型AMRを活用することで、作業者の歩行距離を削減し、生産性の向上につなげています。2022年度より導入を進め、現在2事業所で導入しています。

AMR S

アパレルS事業所

AMR X

輸送機器X事業所

海外拠点導入

海外拠点にも自動化・省力化設備の導入を推進しており、2023年度はSLAM誘導型パレット搬送AGVを中国の天津拠点に導入しました。

AMR S

日雑品O事業所

AMR S

日雑品Y事業所

社会インフラ関連設備の輸送推進 ―鉄道事業者における可動式ホーム柵輸送・設置を実施―

可動式ホーム柵の設置は、駅ホームにおける安全性の向上において重要な課題であり、駅ホームの転落・接触事故やそれらに伴う列車遅延を減少させるために、整備が加速しています。政府は、2015年に閣議決定した"第一次交通政策基本計画"において、1日当たり平均利用者数が10万人以上の駅に対して可動式ホーム柵整備に関する補助制度等を活用することで、優先的な整備を行う方針を示し、可動式ホーム柵設置を促進してきました。また、新たに2025年度を目標年次とするバリアフリー化の目標を定め、今後更なる整備が進んでいく予定です。

当社グループでは、経験豊富な機工作業員と多様な機材を保有し、さまざまな製品の輸送から据付作業まで一貫して物流を手掛けてきました。これらの経験と実績を生かし、2023年までに、多くの駅ホームにて、可動式ホーム柵の据付作業を無事故にて完遂いたしました。

大切な製品を安全かつ確実に設置するトータルソリューションの提供を通じて、お客さまの事業活動や可動式ホーム柵の普及をサポートし、利用者における安全性の向上に努め、豊かな社会づくりに貢献していきます。

工場での車両積込作業

荷卸し作業

車内製品固縛状況

駅構内移動作業

駅構内移動作業

車内への積込作業

ホーム設置作業

車内製品固縛状況

社内への積み込み作業

ホーム設置作業

ホーム柵設置完了

ホーム柵設置完了

重量機工・移転

強靭で持続可能な物流サービスの進化に向けて

輸送デジタルプラットフォーム SSCV(Smart & Safety Connected Vehicle)

「SSCV」は、テクノロジーとオープンな協創を通じて輸送事業をアップデートするデジタルプラットフォームであり、以下の3つのソリューションから構成されています。

  • 輸送事業者の法令遵守と効率的な働き方を提供する「SSCV-Smart」
  • ドライバーの安全に寄り添う「SSCV-Safety」
  • トラックをもっと使いやすくする「SSCV-Vehicle」

物流会社だからこそ提供できる現場発想のサービスや、サービスから得られたビッグデータの利活用により、さまざまな社会課題の解決に資する新たなビジネスモデルを構築し、輸送と社会をよりよい未来へつなぎ、持続可能な社会の実現へ貢献していきます。

SSCV概念図

SSCV-Safety(安全運行管理ソリューション)

SSCV-Safetyの特長と機能

「SSCV-Safety」は、当社が物流を実業とする企業として長年事故と向き合い安全を追求してきた結果生み出した、"事故ゼロ"をめざすソリューションです。ドライバー向けの体調測定機能と、管理者向けのダッシュボード機能が連動し、リアルタイムで事故につながるヒヤリハットを検知。データを一元管理し可視化することで、事故を未然に防ぐだけでなく、運行後の振り返りを行うことも可能です。

また、2023年度は以下の機能拡張を実装しました。

デジタル労務管理
デジタコと自動連携してドライバーの時間外労働時間を把握するとともに見える化を実現
IT点呼
パソコンやスマートフォンなどの機器を活用し、対面でなく遠隔で点呼を行うことが可能(Gマーク認定事業所等にて実施可能)
運転リスク判定
日々計測しているドライバーの体調情報をもとに疲労状態を判定し、運転リスクが高まっていることを運行管理者に通知することが可能

今後は、更なる法制化への対応としてコンプライアンス強化や運行管理業務効率化を目的とした機能拡張に取り組んでいきます。

この表は横にスクロールが可能です
状況 機能 特長
運行前 予測する
  • 体調総合判定
  • ヒヤリハット予報
漫然運転につながるドライバーの「疲労」や「ストレス」を可視化し、事故リスクを独自のアルゴリズムで事前に予測
運行中 見守る
  • 危険走行注意喚起
  • 有事情報通知
  • 車両位置、疲労レベル見守り
  • IoTボタンによる危険検知
危険な状況(運転、疲労レベル)を検知しドライバーにその場で知らせるとともに、管理者がその状況を把握できることで、ヒヤリハットを事後ではなくリアルタイムで摘み取ることが可能
運行後 振り返る
  • 運行ルート
  • 危険運転動画
  • 運転評価コメント入力
経験と勘で判断していた事故のリスクを見える化し、事実とデータに基づいてドライバーを教育・評価できる環境を提供することで、事故を未然に防ぐ体制作りをサポート

SSCV-Safetyの提供価値・有効性

  • 健康起因による事故の未然防止
  • 運行中のドライバーの見守り
  • ドライバーの労務管理の徹底
  • 優良ドライバーへの公平な評価
  • ドライバーに合わせた技能指導
  • 日々の運転状況のコーチング

導入実績と効果

当社グループでは、2019年度から本格的に国内の事業用トラックや自家用車両への「SSCV-Safety」の導入をすすめ、2021年度にすべての車両約2,200台への導入を完了しました。導入後は漫然運転に起因した事故発生の抑制につなげています。2021年からは、当社グループ以外の輸送事業者へのサービス提供を開始し、「SSCV-Safety」の普及に取り組んでいます。また、一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)による「TDBC認定ソリューション」の認定を受けているほか、「SSCV-Safety」は、厚生労働省の調査事業や国土交通省の実証実験に採用されるなど、社会課題の解決に向けた取り組みに活用されています。

2023年度に公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「グッドデザイン賞」を受賞しました。

一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会 新しいタブで開きます

SSCV-Safetyの導入台数(累計:2024年3月31日時点)

区分 台数
当社グループ 2,349台
当社グループ以外(協力会社) 557台
社外の輸送事業者 160台
合計 3,066台

SSCV-Smart(輸送業務支援ソリューション)

中小企業が多くを占めるトラック運送業界では、さまざまな管理業務を電話やFAX、紙で行っている会社が少なくありません。当社が開発した「SSCV-Smart」は、インターネットを介して荷主と輸送事業者をつなぎ、一つのシステムで案件獲得から請求までを一元管理することができる輸送業務支援ソリューションであり、両者の業務効率化・法令遵守を支援します。

SSCV-Smartの基本的な機能

「SSCV-Smart」は、荷主と輸送事業者をインターネットでつなぐWebシステムです。輸送案件の獲得から配車、運行指示書の発行、請求までをシステム上で一元管理できるほか、電子帳簿保存やインボイス制度にも対応しているため、事業効率化・法令遵守を支援します。

SSCV-Smart

SSCV-Smartの導入社数(累計:2024年3月31日時点)

SSCV-Smartの導入済み社数 751社

SSCV-Vehicle(車両管理ソリューション)

車両の管理は、点検や整備、保険の更新など多岐にわたり煩雑であるとともに、法令遵守が求められ、管理の不備は大きなリスクにつながります。「SSCV-Vehicle」は、物流会社ならではの視点とテクノロジーを融合した新たな車両管理のためのソリューションです。

SSCV-Vehicleの基本的な機能

車の調達から買取までの各々の管理業務を一元化しサポート。現在は、IoT技術・ビッグデータを活用した遠隔診断や故障予兆アラートなど予防診断機能の開発を進めています。

SSCV-Vehicle

SSCV-Vehicleの当社グループへの導入台数(累計:2024年3月31日時点)

SSCV-Vehicleの当社グループへの導入台数 3,249台

SSCV₋Vehicleを導入した国内グループ会社で所有しているトラック、業務車両、フォークリフトの合計台数

輸送事業の強靭化(物流の「2024年問題」を含む輸送力不足への対応)

物流の「2024年問題」を含む社会全体での輸送力不足への対応として、ドライバーの総労働時間の短縮やドライバー不足を補う輸送力の強化が急務となっています。当社グループでは、モーダルシフトの推進やダブル連結トラックの運行による省人化・大容量化・短距離化、トラックバース予約管理システムの開発と導入等による荷待ち・荷役時間の短縮などに取り組んでいます。また、SSCVなどのDXソリューションを活用した輸送効率向上にも取り組んでいます。これらの取り組みなどにより、2023年度の当社グループのトラックドライバーの労働基準違反件数は0件でした。

物流の「2024年問題」: 働き方改革関連法により2024年から適用された、ドライバーの時間外労働の上限規制等から生じる諸問題のこと。

SCDOS(サプライチェーン最適化サービス)の提供によるお客さまのSCM(サプライチェーンマネジメント)の支援

複雑化、高度化する現代のサプライチェーンにおいて、当社はサプライチェーン戦略パートナーとして、DXによる可視化と全体最適化を通じたお客さまの事業価値の向上や脱炭素などの環境価値の向上に貢献しています。

2023年度は、ロジスティードソリューションズ(株)の「ONEsLOGI」ラインナップと連携した、倉庫・輸送・CO2排出量の3つの可視化ソリューションを統合した標準モニターの展開を加速し、海外を含むグループ会社9社、21顧客に提供を開始しました。ロジスティードの3PL事業で培った標準モニターをきっかけに、新規顧客向けの3PLサービスの提案活動を強化しています。

ONEsLOGI:当社グループの3PLを支えるWMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)ソリューション

SCDOS(サプライチェーン最適化サービス)

SCDOSの拡張
ーSCDOS_Co Inventory Control Service(協調型在庫コントロール支援サービス)ー

企業が適正在庫を維持することは、ムダな保管コスト抑制や製品の品質維持かつ安定的な供給につながりますが、実現に向けてはタイムリーな在庫の補充判断が欠かせません。当社では、物流工程で発生する多岐にわたるデータの活用による在庫分析・評価と予測技術の活用による在庫の補充発注業務の実行支援を通じた、お客さまのロジスティクス最適化への貢献をめざしています。2023年度は協調型在庫コントロール支援サービスの実装にとどまらず、お客さまからの要請にお応えし、サプライチェーンの在庫適性化プロセスの最適化コンサルティングサービスを複数のお客さまへ提供を開始しました。

協調型在庫コントロール支援サービス

SCDOSの機能拡張 ー物量(需要)予測ツールー

これまでの物流オペレーションで得た知見やAIによる高精度な予測技術を活用し、将来の物量や作業人員の過不足が予測できるツール「SDF(Smart Demand Forecast)」の開発と搭載機能の拡張を進めています。2023年度は、「SCDOS サプライチェーン可視化・分析サービス」との連携を強化し、需要予測機能の汎用化開発を推進しました。これにより、より多くのお客さまに需要予測ツールを提供できるようになりました。季節要因などによる繁忙日や将来のセールを見通した予測物量推移の把握が可能となり、年単位での在庫量や配送量等の物流計画策定の支援を推進します。

活用イメージ

物量(需要)予測ツール

SCDOSの機能拡張 ーSCLINK+(貿易業務効率化サービス)ー

多くのお客さまが、輸入調達業務における表計算ソフトを用いたデータのトラッキングに、効率性向上の限界を感じています。そのようななか、当社は、バラバラに管理されたデータをプラットフォーム上で管理することで業務の効率化を図る「SCLINK+」を提供しています。このプラットフォームを導入することで、発注数や輸送ステータスが可視化され、サプライチェーンを構成するプレイヤー間の問い合わせ工数の削減や正確な納期の回答が可能となり、業務効率化につながっています。

SCLINK+

SCDOSの機能拡張 ーEcoLogiPortal(CO2排出量可視化ソリューション)ー

近年、企業はサプライチェーン全体でのCO2排出量の把握と削減を要請されており、その対応に苦慮しています。当社は、お客さまが既に取得しているCO2排出量に関するデータを活用したCO2排出量の状況が瞬時に算定できるソリューションを開発し、サービス提供を開始しています。このソリューションは、当社の倉庫管理システムやお客さまの基幹システムから取得できるデータから、「どこから・どこまで・何を・いくつ運んだ」というデータを識別し、物流領域におけるCO2排出量を日別や輸送手段別などで分析することで、削減に向けたシミュレーションを可能としています。また、このソリューションは、適正性という観点から第三者認証機関(LRQAリミテッド)の適合性評価を受けています。2023年度は、本ソリューションの提案件数目標を超える多数のお客さまに提案を行い、国内外の複数のお客さまの物流領域で排出されるCO2排出量の可視化と削減の支援につなげました。

DXの推進

当社グループは、物流業界における人手不足や長時間労働が課題となる中で、物流現場で生じるさまざまな情報のデータ化・可視化・標準化を加速させ、DXを推進しています。

DXによるイノベーション創出に向けたデジタル基盤の構築

DX推進による新たな価値・イノベーションの創出を図るため、全社共通のデジタル基盤の整備・構築に取り組んでいます。2022年度は、国内グループの経営系基幹システムの刷新を行うとともに、既に標準化整備が完了しているロジスティクス関連のデジタル事業基盤との連携を進め、国内での革新的なデジタルサービスの提供とデータドリブン経営の促進が可能となりました。2023年度は、グローバル展開の足がかりとすべく、アジアのグループ会社でパイロット版の経営基幹システムを稼働させました。

デジタル事業基盤の活用による物流サービス改革

DXによる事業運営の効率化・生産性向上に向け、デジタル事業基盤の活用による物流サービスの改革に取り組んでいます。デジタル事業基盤は、物流DXを実現するためのデジタルプラットフォームで、当社グループ内の倉庫領域で日々得られるさまざまなデジタルデータを集約し標準化したものです。このデジタル事業基盤を活用し、2024年度目標である「物流改革プロジェクトの遂行 累計60件」を超えるプロジェクトを、2022年度までに完遂させました。2023年度以降は、これまでの知見をお客さまへの提案にも組み込んでいくことで、効率的かつ経済的にも優れた物流の普及に取り組んでいます。

物流センターや倉庫での自動化・省力化、およびDXによる倉庫オペレーションの変革

当社グループでは、労働力不足に起因する物流の遅延・停滞や物流コスト上昇などの社会課題の解決に向けて、物流センターの省人化促進だけでなく、DXによる倉庫運営の効率化・標準化にも積極的に取り組んでいます。

RCS(Resource Control System:"設備"と"人"の統合制御システム)の実装

当社グループでは、RCS(Resource Control System)を通じて、倉庫運営の重要なリソースである「人」と「設備」を最適化し、倉庫全体のスループット向上を目指す取り組みを行っています。

RCSは、設備の管理(RCS-Automation)と人の管理(RCS-Workforce)のそれぞれでソリューションを展開し、将来的にはこれら二つのソリューションの連携も視野に入れて取り組んでいます。

設備の管理(RCS-Automation)

将来の労働力不足に備え、現場での自動化・省人化は避けられない状況です。また今後はさまざまな設備やロボットが物流現場で導入されることが想定され、複数の設備、ロボット間でのタスク連携が求められます。RCS-Automationではそのようなニーズのもと、メーカーに依存せず複数の設備をコントロールすることで現場全体のスループットの向上を支援します。また、設備の単体制御においても、メーカーの制御システムに依存せずに、ロジスティード独自で開発した制御システムにより、メーカーシステムにはない機能の追加や当社の制御ノウハウの展開が可能です。

人の管理(RCS-Workforce)

現場の個人に依存した業務をデジタル化をし、属人化の解消とペーパーレスを進めて、事務管理の運用負荷を軽減することが可能です。また現場業務の標準化の取り組みによって業務プロセスの整備が可能となり、荷主単位での生産性の比較・検証を行うことができるようになります。またRCS-Workforceでは可視化された稼働状況をもとに、作業員の作業エリアへの事前配置、当日の配置変更、カット時間に合わせて配置調整を行うことも可能です。

物流センター内の指示機能を高度に自動化する「RCS(Resource Control System)」に関する特許取得のお知らせ(2021年8月2日)

「第28回日本MH大賞(優秀賞)」「2022年度ロジスティクス大賞(準大賞)」をダブル受賞

RCSの導入事例 ー物流センターの省人化とDXによる倉庫オペレーションの変革ー

2022年度に開設した生活雑貨向けの物流センター(大阪府)では、RCSを導入することで、当社独自の倉庫運用ノウハウが反映された自動化設備の統合制御が可能となり、バラ・ケース荷姿の商品の荷受けから方面別仕分けまでの一連の作業工程の効率的な自動化・省人化を実現しています。2023年度はスポーツ用品向けの物流センター(栃木県)にも同様のシステムを導入し、自動化・省人化を推進しています。また、これまで管理者の知見に頼っていた倉庫内の人員配置計画、シフト計画、作業工程計画などの作成や実績管理といった倉庫マネジメント業務も、RCSの導入により迅速な処理が可能となっています。RCSというDXソリューションの実装が、設備や人のリアルタイムな予実管理とリソースコントロールの効率化・標準化を実現しています。

通販N事業所

通販N事業所

医療G事業所

医療G事業所

流通P事業所

流通P事業所

RCS(Resource Control System)(物流センターDX支援サービス)

倉庫管理システムの再構築 ーONEsLOGI 新WMS-PF(標準化倉庫管理システム)の機能拡充ー

お客さまへの提供価値の拡大に向け、WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)の標準化に取り組んでいます。従来は、業態ごと・お客さまごとにWMSをカスタマイズしていましたが、倉庫領域にとどまらず、当社グループが長年続けてきた3PL事業で得たノウハウや物流にまつわるあらゆる機能を搭載した「ONEsLOGI 新WMS-PF(標準化倉庫管理システム)」を標準ソリューションとして再構築することで、お客さまへのサービス提案・提供の迅速化・高度化を図っています。このソリューションの機能拡充の進捗を「適合率」として把握・管理しており、2023年度は、目標を上回る適合率を達成しました。

この表は横にスクロールが可能です
「ONEsLOGI」新WMS-PFの物流業務への適合率向上 2023度目標 2023年度実績
90% 94%

DX分野の特許出願・権利化の推進

当社では、コラボレーションやイノベーションを促進するうえで重要な経営資源である技術やノウハウについて、ビジネス関連発明として特許出願することを標準的に行っており、近年では、DX分野の出願が大半を占めています。技術やノウハウを無形資産として捉え可視化することで、さらなる価値の創生・活用につなげていきます。

特許出願(公開)件数のうちDX分野の件数と割合

(2024年3月末時点:累計)

8件
67%

DX人財の育成

ITやDXを活用した新たな事業の創造を担うDX人財の確保のため、DX教育の充実化を図っているほか、お客さまのサプライチェーンの課題をデータに基づいて発見し解決するデータサイエンティストを育成しています。

DX人財の育成(従業員とともに)

データサイエンティスト育成講座受講者数

(2024年3月末時点:累計)

133名

関連:統合報告書2022 オンライン版 「社員座談会 日立物流グループが挑戦する物流DX」

協創による新たな価値の創出

循環型利用物流の構築 ーレコビスー

所有型から利用・体験型へと変化する消費スタイルに対応するために開発された「レコビス」は、RFIDタグによる個品管理・クラウド型システムによって、EC事業者さまのサブスクリプションサービスをサポートするサービスです。ファッション業界における衣料の大量消費や廃棄といった環境問題が課題となるなか、この「レコビス」は、シェアリング・サブスク・レンタル型ビジネスをサポートする循環型利用物流の実現に貢献するだけでなく、適切な荷扱いにより、「製品寿命の長寿化」やサーキュラーエコノミーにつなげています。

RFID(Radio Frequency Identification):電波を介して情報を読み取る非接触型の自動認識技術

安全で持続可能な物流の実現に向けて ーSSCVデータの社会課題解決への利活用ー

「2024年問題」やSDGs等の社会課題の解決に向けては、課題解決に資する新たなビジネスモデルの構築や、業界を超えた協創が必須となります。当社グループではSSCVのサービス運用から得たビッグデータの有効利用方法や新たな価値を探求しています。

協創パートナーである大和ハウス工業株式会社が主催する、2024年問題に向けた課題解決へのデータ活用コンテストにおいては、SSCV-Safetyから取得したデータをもとに生成AIがドライバー向けにフィードバックコメントを自動生成する等、さまざまなアイディアを応募いただきました。

今後も、応募いただいたアイディアやSSCVが蓄積したさまざまなデータを利活用し、業界を超えたパートナーとの協創を通じて新たなビジネスの創出や社会課題の解決をめざすとともに、輸送プラットフォームを中心としたエコシステムの拡大により、安全で持続可能な物流の実現に貢献していきます。

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