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ロジスティード

統合報告書2022 オンライン版

CFOメッセージ

今後もステークホルダーの
皆様との「対話」と「協創」を核に、
さらなる企業価値向上への
取り組みを加速します。

執行役副社長(CFO)経営戦略本部長
林 伸和

中期経営計画「LOGISTEED2021」の振り返り

2021年度に終了した前中期経営計画「LOGISTEED2021」においては、グループ会社の物流センターにおける火災の影響等からEBIT以下の目標数値は未達となったものの、売上収益は目標数値7,200億円に対し7,436億円、調整後営業利益は同360億円(IFRS第16号「リース」適用影響加味後385億円)に対し387億円と達成することができました。フォワーディング事業における運賃高騰という特殊要因はあったものの、中計3ヵ年の全体的な評価として、まずまずの成果をあげることができたと認識しています。
一方、トップラインの伸び悩みは特に国内3PL事業で課題となっており、2021年度はコロナ禍における自動車やアパレル関連の物量が減少した影響等もあり、売上収益・調整後営業利益ともに減収減益となりました。そのため、以前より取り組んできた「トップライン拡大プロジェクト」を2022年度からの新中期経営計画「LOGISTEED2024」においても継続し新規顧客の獲得に注力するほか、海外事業では、KKRとのパートナーシップによる連携等により拡大を加速していきます。
また、投資計画については、国内外での物流拠点の拡充や車両運搬具等の更新など、強固なコア領域(スマートロジスティクス領域)の構築に向けた事業投資はほぼ計画通りに進捗したほか、「DX推進・IT基盤構築」「新技術開発」「新事業開発」「人財・安全等」における戦略投資も順調に進んだものの、M&Aはコロナ禍の影響等から大きな成果を得られませんでした。こちらも「LOGISTEED2024」に引き継がれた課題として、前述のKKRとの連携等により加速していく考えです。
資本市場からの円滑な資金調達と調達手段の多様化に向けた発行体格付(R&I)については、自己株式の取得や親会社持分比率の低下等はあったものの、調整後営業利益の成長が長期にわたり続いていることなどを評価いただき、Aフラット※1を維持しています。

※1(株)格付投資情報センター(R&I)が2022年5月2日に公表

新中期経営計画「LOGISTEED2024」における財務戦略

新規顧客の獲得によるトップラインの拡大

新中期経営計画「LOGISTEED2024」の財務戦略の最大のテーマとして、まずは前述の通りトップラインの拡大に注力します。
国内事業については、前述の「トップライン拡大プロジェクト」もあり、新規顧客の比較的大きなプロジェクトが始まっているほか、新たな案件も積み上げていくことで、トップラインを伸ばし着実に収益化していきます。
海外事業については、足元のウクライナ危機や中国のゼロコロナ政策によるロックダウンの影響等から世界的なサプライチェーンの混乱が生じており、フォワーディング事業の正常化には時間を要すると見ています。
そうした中、当社グループは中谷会長のメッセージに記載した「地域完結型モデル」を引き続き展開するほか、「LOGISTEED2024」の戦略投資800~1,000億円の相当部分を海外全域でのM&A等に振り向けることで、トップラインの成長をめざします。現在、KKRとともに国内外の複数の候補先や期待できるシナジーの具体的な検討を進めており、まずは米国での輸送力増強、欧州での3PLやフォワーディングの強化、インドでの輸送力増強等をM&Aにより推進していきます。

基幹システムの刷新をコアとするDXでROIC経営を進化させる

2018年度から取り組んできた「ROIC経営」については、基幹システムの大規模リニューアルをコアとするDX推進により、さらなる進化を図ります。
具体的には、まず国内については2022年度中に新基幹システムへの切り替えをグループ全社で概ね完了させ、これに合わせて売上・支払の仕組みもSPV※2で標準化・統一することで、これまでグループ個社単位で取り組んできたROIC改善の取り組みを事業所・顧客・業態別単位の切り口でも実施し、現場へのさらなる浸透を図ります。
海外グループ会社の基幹システムの刷新については、2023年度からの本格化に向けた準備を進めています。3PLが中心の国内に比べ海外ではフォワーディング事業の比率が高いことを念頭に置きつつ、現状把握とリニューアル方針の策定を進め、特にキャッシュマネジメントについては新たにTMS※3を導入し海外全拠点の資金状況を日々把握できるようにすることで、ROIC改善への取り組みを進化させていきます。これら一連の取り組みにより、国内外でのキャッシュの動きをはじめとする財務数値・指標等を一気通貫で「見える化」することで、グループ全体のROIC改善へとつなげていきます。

※2 SPV(Smart Performance Visualization Platform):国内業績管理システム
※3 TMS(Treasury Management System):グループ全体の資金や財務リスク等を一元的に管理することが可能なシステム

海外グループ会社向けのROIC教育と相互コミュニケーションを強化

ROICの改善に向けてはシステムの刷新だけでなく「ROICツリー」など現場レベルでの活動も重要であることから、特に海外グループ会社向けのROIC教育に注力しています。
具体的には、英語版のROIC教育資料を作成のうえ海外4極(北米、欧州、中国、アジア)の各極の経理管理者だけでなく経理担当者向けのROIC教育を毎年実施し、本社とのコミュニケーションを深めながらROICへのさらなる理解と意識の浸透を図っています。2021年度は、コロナ禍で数年来実施できなかった海外拠点との本格的なミーティングをオンラインで再開し、経理管理者・担当者だけでなく一部現地法人のトップも交え有意義かつ内容の濃い対話を実施できたことから、今後もこの取り組みを継続します。足元ではコロナ禍による渡航制限も緩和されていることを踏まえ、2022年度は前述の海外基幹システムのリニューアルプロジェクトも兼ねて財務戦略本部長が各極を訪問し、フェイスtoフェイスのコミュニケーションも深めながらグループ一丸となったROIC経営に注力していきます

海外勤務ローテーションと新たな教育体系により、財務人財の育成を強化

「LOGISTEED2024」では重点施策である「ESG経営の基盤強化」にも積極的に投資を行い、特に人財戦略においてグローバル人財・DX人財の増強・育成強化に注力するとともに、その一環として財務人財の育成を強化していきます。具体的には、財務戦略本部では海外勤務を計画的にローテーションすることでグローバル人財の育成に注力しているほか、FASS検定※4の活用や体系的な教育の充実等も進めています。海外勤務からの帰任者は経営戦略本部や海外事業統括本部でも活躍できるほどの実力を身に付けているほか、今後は国内グループ会社の集約・大規模化を進める予定であることを見据え、会計監査対応のスキル向上や、個々のキャリアや習熟度に合わせたきめ細かな人財教育の拡充とジョブローテーションによる組織の活性化にも取り組む構えです。加えて、海外グループ会社からは現地人財の日本での受け入れと教育機会を求める声もあることから、上記ジョブローテーションによる組織活性化の一環として具体的に検討していきます。

※4 FASS(Finance & Accounting Skill Standard)検定:経済産業省が開発した「経理・財務サービス・スキルスタンダード」をベースに米国テスト理論を取り入れることで、経理・財務分野における客観的な実務知識・スキルの習得度を測る検定試験

グローバルな資金管理/債権管理/与信管理の強化・効率化

前述のTMSの導入により今後はグループ全体の資金の動きを日々確認することで、資金管理のさらなる精緻化やガバナンスの強化につなげていきます。また、債権管理/与信管理の強化にあたっては2020年の米中貿易摩擦の影響等により一部地域で不良債権が生じたことを踏まえ、前中計期間においてグローバル与信管理や債権管理を改めて強化しました。フォワーディング事業の比率が高い海外事業は市況悪化の影響を受けやすいことから、今後のフォワーディング市場の状況を注視しつつ、引き続き与信/債権管理におけるガバナンスの実効性を高めていきます。

今後もステークホルダーの皆様との対話を重視します

HTSK(株)による当社株式に対する公開買付けおよびその後に予定される一連の手続きを経て、当社グループは一旦非上場会社となる予定ですが、今後も持続的な価値創造に注力し、さらなる企業価値向上への取り組みを加速していきます。
そのためのステークホルダーの皆様との対話においては、今後も公正で透明性の高い情報を適時・適切に開示していくほか、マテリアリティ(重要課題)やESG/SDGsへの取り組みなど非財務情報についても積極的に開示していくことで、引き続き皆様との建設的な対話に注力していきます。

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